第63章 絶望の中に見える光
「ルフィさんはどこ!なんであんたがここにいるのよ!」
「奴なら死んだ」
「嘘よ!ルフィさんがあんたなんかに負けるはずない!!」
「クハハ……信じる信じねェはお前の自由さ、だが奴はもうここには来ない」
広場へ下りたクロコダイルが手で合図をするとミス・オールサンデーが傷だらけのコブラを伴い現れる。
壁に叩きつけられたコブラはそのまま鋭いトゲで両腕を壁に縫い付けられた。
「ぐあっ……!」
「パパ!」
「国王様!」
ビビとチャカの悲痛の叫びにコブラは声を押し殺し顔を上げる。
「すまん……せっかくお前が命を賭して作ってくれた救国の機会を、活かすことができなかった……」
「パパ……」
「お涙頂戴の演出結構なことだ。だが…最初に言っておこう。おれはお前ら親子を助ける気はない」
王国が滅ぶ時は王族も共に滅ぶのが自然な流れってもんだ、とクロコダイルはコブラへと近づいていく。
「だがコブラよ。王座交代の前にお前に一つ質問をしなきゃならん。
__それがおれの最大の”狙い”だからだ」
海賊であるクロコダイルが、四年という歳月をかけてまで手に入れようとしたもの。
「”プルトン”はどこにある」
その名前に反応したのはコブラだけであった。
「貴様…なぜその名を…!」
「一発放てば島一つを跡形もなく消し飛ばすと聞く…”神”の名を持つ世界最悪の”古代兵器”!!
この国のどこかに眠っているハズだ……」
「兵器……そんなものが…」
「王位と共に継承される秘密か……」
初めて聞くことにビビは呆然とする。
最初からクロコダイルはそれが狙いだったのだ。
その武器を手に入れ、この地に最強の”軍事国家”を築くために。
「そんなことを世界政府が許すはずがない」
「だろうな。だから必要なのさ……強大な”軍事力”が。
__加えて今、この地には”異世界の民”がいる。
水琴……といったか」
クロコダイルの口から出た水琴の名にビビは背筋が凍る。
砂漠越えを始めた当初からビビの中に渦巻いていた懸念が現実になろうとしていた。