第62章 ここにいる意味
「エース!」
「どうした?」
「あったかもしれない。私たちにもできること!」
隣のエースにあのね、と耳打ちする。
内容を聞きエースはまた微妙な顔をした。
「お前……そりゃまた滅茶苦茶な」
「どうかな」
「はっきり言ってビビより無茶なこと言ってるぞ」
「分かってるよ。でも、出来るでしょ?」
「……まァ理論上はな」
本気か?とエースが渋い顔をする。
「実際出来るとは限らねェぞ。時間もない」
「出来るよ」
断言する。自信に満ちたキラキラとした笑顔で水琴はエースを見た。
「出来る。私とエースなら」
「__まったく、お前ってやつはいつもいつも……」
向ける信頼にエースは笑って応えてくれる。
「いっちょやってみっか。”奇跡”とやらを」
「そうこなくっちゃ!」
どちらともなく片手を上げ叩き合う。
「ビビ!」
そうと決まれば時間が惜しい。水琴はチャカと話し合うビビに声を掛けた。
「ごめん、少し出てきてもいい?」
「えぇ、もちろん。ここはもう私だけで大丈夫」
何かあったの?と問いかけるビビにちょっとね、と水琴は笑う。
絶対に実行すると決めてはいるが、何があるか分からない状況でぬか喜びはさせたくなかった。
「ビビに、いいものをプレゼントするから」
「?」
「信じて、待ってて」
訳が分からないだろう。だがビビはこくりと頷いた。
「えぇ、分かったわ」
待ってる。その言葉に水琴は笑みを返す。