第62章 ここにいる意味
宮殿を爆破するための準備に取り掛かる兵たちを遠巻きに眺めながら水琴はざわつく胸を抑えた。
__本当に、これで大丈夫なのだろうか。
宮殿の爆破。
確かにそんなことが起これば国王軍にとっても反乱軍にとっても印象的な出来事となるだろう。
でも、はたして本当にそれで戦争は止まるだろうか。
ビビを始め、ルフィたちも水琴も、戦争を止めることを諦めてはいない。
まだ止められると、信じている。
だからこそ考える。本当にこれだけで大丈夫なのか。
人の力だけで、この争いは止められるのか。
水琴自身、戦争を経験したこともなければ間近で見たこともない。
けれど、元の世界では様々な争いがあった。
信じる神が違うだけで何度となく争いは生まれ。
流れる血、肌の色が違うだけで起こる戦争もあった。
戦争は簡単なものではない。
些細なことを火種として、一度動き始めた歯車は様々な感情や意思を動力に熱を生み、その熱でさらに前へ前へと暴走する。
そうなってしまったら、王女といえども、たった一人の声では止めることなど出来ない。
__そう、”奇跡”でも起きない限り
「あ……」
水琴の頭に閃くものがあった。
戦争を止められるかもしれないもの。
それでいて、これからの彼らに必要なもの。