第9章 白ひげクルーとの日常 5日目
なんで私は弁解してるんだろう。
何故か悪いことをした気分になり、慌てて理由を説明する。
しかし理由を知ってもエースの険しい表情は和らがなかった。
「お前なァ。いくらなんでも夜に男と二人っきりになんなよ。不用心すぎるだろ」
「え、でもサッチさんだし」
「サッチでもマルコでも一緒だ!少しは女って事意識しろよな」
「そんなこと言ったって…」
「……で。お前らはいつまでそこでいちゃついてるわけ?」
水琴の背後から第三者の声が聞こえ二人同時に振り返った。
そこには少し眠そうな顔をして二人を見つめるサッチ。
「「いちゃついてねェ(ません)!!」」
「いや、痴話喧嘩にしか見えねェし。早かったなエース。で、帰って早々何事よ?」
「大体お前のせいだぞサッチ!」
「はァ??」
突然矛先を変えられたサッチは目を白黒とさせる。
「菓子作るんだって、わざわざ夜にやることねェだろが」
「…はは~ん。そういうこと」
なんとなくエースが不機嫌な理由が分かりサッチは目を細める。
全く可愛らしい末っ子だ。
「安心しろってエース。水琴ちゃんの心はお前でいっぱいだから」
「ちょ、サッチさん!」
「……は?」
にやにやと笑うサッチと慌てる水琴に首を傾げるエース。
「どういう意味だよ」
「なんでもないです!とにかく、疲れてるんだから一休みして来てください!」
また昼に!と言い残し水琴は船内へ入ってしまう。
「…意味わかんねェ」
「まァまァ。とりあえず昼を楽しみにしとけよ、な?」
楽しそうに肩を叩くサッチを、とりあえずエースは殴った。
***
「はい。どうぞ」
親父やマルコへ報告を済ませ、仮眠をとったエースが食堂で少し遅い昼食をとっているとふいに目の前に置かれた箱。
「頑張って仕事を済ませてきたエースさんに、ご褒美です」
作るの大変だったんですからね、と少しむくれたように言うのは先程のやり取りのせいだろうか。
その件は今は置いておくとして、エースは目の前の箱と水琴を交互に見た。