第9章 白ひげクルーとの日常 5日目
「__よ。ただいま」
にっ、と水琴の好きな笑顔が零れる。
「お帰りなさい!随分早かったですね」
「即行で済ませてきたからな。おれがいない間大丈夫だったか?」
「はい!皆さんと仲良くなれてすっごく楽しかったです!
ハルタさんとはトランプしたし、イゾウさんには着物を着付けてもらったし、ジョズさんには洗濯物手伝ってもらったり、それに…」
留守番をやり遂げた子どものように胸を張り答える。
指折り数えて数日間のことを報告しようとする水琴は黙ってしまったエースに気付き顔を上げた。
見上げたエースの表情は少し複雑そうだ。
「あ!すみません帰って来て早々立ち話なんて…疲れてますよね」
「いや、そうじゃねェよ。…うまく馴染めてんなら良かった」
ようやく見せた笑みはさっきのよりも力無い。
やはり無理させてしまったのか、と水琴は身を引こうとする。
と、その腕をエースが掴んだ。
「………」
「な、なんですか?」
急に首元へ顔を寄せられ、水琴は声が裏返る。
ふわりとエースの髪から潮と彼の匂いが香りどぎまぎした。
「…匂い」
「へっ?!」
心が読まれたようでどきりとする。
「甘ェ匂いがする」
すん、とエースが鼻を鳴らす。
「……あ、あぁ。昨日の夜サッチさんとお菓子作ったから…」
「__夜?」
首元に顔を近づけたまま水琴を見上げるエースにどきりとする。
顔!顔が近い!!
「その、水を貰おうとしたらたまたま食堂にサッチさんがいて!流れで一緒に作ることになって…」