第62章 ここにいる意味
辿り着いたのは宮殿内の広場だった。
物々しい装備に身を包んだ兵らがビビを出迎える。
報せを聞きすぐに駆けつけたのか。やや息を切らせたチャカが広場へと姿を現した。
「ビビ様!よくぞご無事で……この二年、お帰りをどれほどお待ちしていたことか……!」
「心配かけてごめんね、チャカ」
「その者たちは……」
「私をここまで連れてきてくれた恩人よ。彼らがいなければ、私はここまで辿り着けなかった」
「そうでしたか……」
話の邪魔をしないよう水琴達は少し離れたところに待機する。
それでお願いがあるの、と再会の喜びもそこそこにビビは早速本題に入った。
「なんでしょう」
「この宮殿を、破壊して」
「は……」
突拍子もない言葉にチャカは一瞬言葉を失う。
水琴も最初に聞いた時は耳を疑ったが、ビビの決意は固かった。
なので水琴とエースはビビを見守ることに決めた。
「正気ですかビビ様!そんなことをしたら……!」
「そんなことをしたら何?この国が終わっちゃう?違うでしょう。”ここ”がアラバスタじゃないもんね」
戸惑うチャカに対しビビは強い意志を込めた瞳で見返す。
「アラバスタ王国は今傷つけあっている人たちよ!彼らがいてここは初めて”国”なのよ!
……この戦いを数秒……止めることが出来ればそれでいい……!」
数秒間みんなの目を引くことができれば、あとは私が何とかするから。
「この宮殿を、破壊して!!」
静寂が場を支配した。
ビビの荒唐無稽な策に、周りの兵たちは誰もが言葉を紡げずにいた。