第62章 ここにいる意味
静かな住宅地まで来てようやくカルーは足を止める。
目の前で崩れ落ちるカルーと彼を支えるビビに水琴は駆けよった。
「ビビ!カルーは…!」
「流れ弾が当たって…!」
がくがくと震えるカルーの胸元からは血が溢れ続けている。
処置をしなければ命も危ぶまれるだろう。
上着を切り裂き止血をしようとすればカルーはばさばさと手を振る。
「うん……うん……っ分かってる……!」
それにビビは必死に応える。
水琴にはその言葉は分からない。
だが何を伝えたいかは痛いほど理解できた。
「ム~~ダだっって!言っっったでショ~~~う!!!」
そんな水琴達にMr.2が迫る。
ビビを庇うように、水琴は前に立ち構えた。
「邪魔すんじゃないわよーう!アンタから先に始末してやるわ!!」
かなりの実力者だろう、Mr.2が自分を屠ろうと向かってくるのを認識しても、水琴の中に恐怖はなかった。
あるのは怒り。
普段の水琴からは想像できない、厳しい表情をMr.2に向け、水琴は腕を前へ突き出す。
その周囲に風の矢が幾重にも生まれた。
「矢風__ッ!」
鋭い風の矢がMr.2へ向かい放たれようとした瞬間、
Mr.2を背後から強烈な蹴りが襲い掛かった。
「デふっ!!」
もろに食らいMr.2は横に立ち並ぶ店まで吹き飛ぶ。