第61章 決戦の舞台
「あ~~!あんたたち!もしかして、”白ひげ”!!」
「悪いことは言わねェよ。これ以上先には進まない方がいいぜ」
「ビビの邪魔はさせない」
「なァ~~んであんたたちがでしゃばんのよォ!もう!」
悔しそうに地団駄を踏む様子に水琴とエースは少々拍子抜ける。
「___なァ~~んて、ね」
だが腐ってもMr.2。これで終わるはずがない。
ニィと吊り上がる口元に身構える二人の足元で砂が盛り上がった。
「んなっ!!」
「えっ?!」
「海の上じゃあドゥーか知んないけどォ~~!”ここ”じゃああたしらの方が分があるわよォ~~う!」
突如現れたのは以前水琴が砂漠で見た、巨大な植物。
あれよりも数段大きな個体が水琴とエースを飲み込もうと砂塵から襲い掛かった。
不意を突かれ二人は瞬く間に呑み込まれ、砂の中へと引きずり込まれる。
バイビー!とその横をMr.2が駆けていった。
「水琴、行け!!」
水琴に絡まる蔓がエースの炎であっという間に焼き尽くされる。
どんと背を押され水琴は咄嗟に微かに見えていた青空へ風となり抜け出す。
「エース!」
水琴を庇ったせいで抜け出るのが一瞬遅れたエースは完全に砂の中に埋まってしまった。
元通りの静寂を取り戻した砂面を水琴は心配そうに見下ろすが、エースの言葉を信じビビの下へ駆けた。
その地中奥深く。
エースは自身を拘束する根源に目をやる。
「___さて。あんまゆっくりできねェんだ」
漏れ出る殺気に本能で危機を感じ取ったのか、エースを拘束する力が弱まるがもう遅い。
地中から巨大な炎の嵐が噴き出す。
何事もなかったかのように地面へと降り立ったエースは遠く先を行く影を睨みつけた。
「ったく、小賢しい手を使いやがる」
だが、その手に時間を取られたのも事実。
先行く水琴達を追うように、エースもまた砂漠を駆けた。