第2章 始まり
ここは新世界の中ほどにある小さな島。
あまり先進的ではないが、独特の民族性と落ち着いた雰囲気がエースは好きだった。
すでに白ひげ海賊団が停泊して三日になる。最初は警戒していた人々もその人柄に触れ、徐々に心を開きつつあり穏やかな日々が続いていた。
今日も男手が足りないと村へ手伝いに行っていたエースは村人から面白い話を聞いた。
「異世界に通じる井戸?」
「えぇ。なんでもその井戸に手を入れると、その人に必要なものが手に入るんですって」
エースさんも後で行ってみたらどうですか?と言われそうだなァと呟く。
「ま、時間があれば見に行ってみるかな」
正直異世界と言うのは眉唾ものだが、この海では常識と言う物は一切通用しない。
それにそんな噂が出るということは、何かしらの秘密はあるのだろう。
どうせ他にすることもない。暇つぶしに覗いてみるか、とエースは村からの帰り道教えてもらった井戸へと足を運んだ。
そこには想像以上の人だかりができていて、思わず目を見開く。
みると隊長クラスの奴らも何人かいる。彼らは代わる代わる井戸に手を入れ、盛大に騒いでいた。