第61章 決戦の舞台
少し時は遡る。
「ねぇ、やっぱりそっちに一人行った方がいいんじゃないかなぁ」
クンフージュゴンとカルガモ部隊のおかげでずいぶん早くアルバーナ近辺に着いていた水琴達は最後の作戦準備をしていた。
砂ぞりの調子を見ていた水琴は囮役である六人…いや、五人と一匹を見る。
「いくらなんでもマツゲにやらせるのはおかしいんじゃない?」
「しょうがないでしょ。向こうは水琴のことも狙ってるんだから」
マツゲにお揃いのマントを被せ脱げないか確認していたナミはひらりと手を振り水琴の意見を却下する。
「狙われてるビビと水琴を引き離すよりまとめてエースに護衛してもらった方がこっちとしても安心だし」
「でも、私なら守ってもらわなくても風で逃げられるし…」
「あたし達の誰かが人質に取られても逃げるって誓える?」
「………」
「いい?水琴。向こうはクロコダイルとミス・オールサンデーを除けば幹部は五人。恐らくペアで動くだろうから、マツゲと組む人にMr.2を挑発して引き寄せてもらえば二対一になることはまずないわ。不利な場合はカルガモ部隊に連絡をしてもらえるようお願いしてあるし、あんたがこっちに来る必要はないの」
「ん……」
「俺達の目的は反乱の阻止だ。それにはビビが確実に反乱軍と接触する必要がある。なら万が一を考えてビビの守りを固めたほうがいい」
「…そうだね、分かった」
ゾロの一言に水琴もようやく観念する。
しかし心配は心配だ。彼らの強さは知っているし信頼もしているが、それとこれとは別問題である。
「みんなも気を付けてね」
「そっちこそ。奴らの狙いはそっちだからな。水琴ちゃんも気を付けて」
「おれも頑張るぞ!」
「よぉしチョッパーその意気だ!大丈夫、あんなやつら俺の一発でイチコロだ!なんせ俺には100万の部下がいるからな!」
「えェ~!100万?!」
賑やかな彼らの様子に不安が薄れる。
大丈夫。きっとこの作戦はうまくいく。
「水琴さん」
一番不安を抱えているだろうビビが強く在ろうとしているのだ。
私がこんなことでどうすると己を叱咤する。
「大丈夫。行こう」
誰一人欠けないために、出来ることをしよう。