第61章 決戦の舞台
反乱軍はもう目の前に迫っていた。
南門を背にして、水琴とエースに挟まれるようにビビは立ち眼前を見据える。
「すごい数……」
「何十万の人々が一斉に首都を目指してるから」
国のために。
国を想う気持ちは国王軍も反乱軍も同じはずなのに、たった一人の人間のために血を流さなければならない事実にビビは唇を噛む。
「__いいか、ビビ」
「えぇ、お願い」
ビビの一言でエースが一歩後ろに下がる。
前方ではなく後方に向かい、マントを払い腕をぐっと引く。
「……炎上網ッ!!」
エースの振るった腕は炎を纏い巨大な壁を生み出した。
突然現れた炎の壁に反乱軍は失速する。
「やった……!」
狙い通り、現れるはずのない炎に反乱軍は困惑したようだった。
炎の壁を背にビビが反乱軍の前に立つ。
「止まりなさい!!反乱軍!!」
迫る大軍に恐れる様子もなく、ビビはひたすらに声を張り上げる。
「この戦いは仕組まれているの!私の話を聞いて!!」
おそらく先陣を切り走っているだろう、反乱軍のリーダー・コーザに届けと、ビビは叫ぶ。
これだけの大軍。そして迫る速度に彼を見つけることは容易ではない。
だが、ちょうどビビの正面。
そこに懐かしい、幼馴染の姿を見た気がした。
「コ……」
目が合おうかに思えた、その刹那。
砲撃の音と共に視界を砂埃が遮る。