第61章 決戦の舞台
「オイオイオイ、それ大丈夫かい?!やれ大丈夫かい?!
本当に来るんだろうね王女と海賊共は。
もう反乱軍の雄たけびが聞こえてんじゃねーかね!」
アルバーナ襲撃までもう一時間を切った。
王女ビビ一行がレインバースを発ちここ、アルバーナを目指しているのは報告を受けている。
首都へ続く入り口は全部で五つ。レインバースから直進すれば、普通に考えればここ西門に現れることになる。
だというのに一向に現れないターゲットにミス・メリークリスマスは苛々と砂を蹴った。
「これじゃ先に反乱軍が到着しちまうよ!止める気あんのかねまったく」
「間に合わないってケースも多分にあるのよ。何しろレインベースで彼らは大幅に時間をロスしているんですもの」
「なに、そうなのかい?!」
ヒッコシクラブで発ったという話だが、レインバースとアルバーナの間にはサンドラ河がある。
あれは河を渡れないため、他の方法を探すか河に沿って河口まで行きそこに停めてあるだろう船で渡るかだが、どちらにしろ多大な時間を消費するだろう。
ならば先に反乱軍が到着してもおかしくない。
「じゃあ反乱が先に始まっちゃっタラバ…あちし達はドゥーすればいいのう?!」
「ドゥーもしなくていいんじゃない?戦争が始まっちゃえばいくら王女といえど何もできないわ」
反乱さえ始まってしまえばもう数人の海賊にはどうしようもない。
そんな数人の力で治まるほど戦争というのは小さなものではないのだ。
「消せと言われた奴をおれ達は消せばいいんだ。それくらいも判断できねぇのかオカマ野郎は」
「ヨッッポドオカマ拳法食らいたいらしいわねい!!オォッ?!」
「おやめなさいったら」
騒ぐMr.2・ボン・クレーらを余所にMr.4はじっと砂漠の彼方を見つめていた。
「Mr.4?」
「……きぃ~~~てぇ~~~るぅ~~~」
指さす先には複数の影と砂を蹴る足音。
それは西の方からまっすぐアルバーナを目指していた。