第61章 決戦の舞台
「…ゾロ、それ逆に疲れるんじゃない」
「ほっとけよナミさん。その馬鹿はそうでもしねぇと落ち着かねぇんだ。
ビビってんだ。七武海の実力とやらにさ」
「……あぁん?」
「そうだろ、なんせ一度やられた身だ。お前は恐れてるんだ、ルフィが負けるんじゃないかってな」
「それはてめェだろ、この、くそまゆげ…っ!!」
「あァあん?!」
「あぁ!!もう喧嘩はやめてよ!」
アルバーナへ向かうヒッコシクラブの背上は重苦しい空気に満ちていた。
船長であるルフィの離脱は思いのほか彼らに影響を与えているらしい。
しかしこの空気の原因はそれだけではない。刺々しい雰囲気を隠そうともしない彼らを少し離れたところで見守りながら水琴はちらりと横を盗み見た。
この空気を作った要因の一人はルフィと別れた後むっつりと黙ったまま背後を睨み続けている。
もう先程のような強烈な殺気は放っていないものの、彼からにじみ出る不穏な空気は意図していないにしろ、この場にいる者の不安を大きく揺さぶっていた。
このままアルバーナに向かうのは誰にとっても良くない。