第60章 目指せアルバーナ
「あ、水琴ここみたいだ」
どうか彼も無事ですようにと心の中で念じているところにチョッパーから声がかかる。
立ち止まったマツゲから降りて周囲を見渡すが、特に変わったものはなく水琴は首を傾げた。
「ここって…何もないけど?」
「今呼ぶみたいなんだけど…水琴に手伝ってもらいたいんだって」
「私に?」
なんだろう。風を使うようなことなんだろうか。
しかし手伝ってほしいのなら拒否する理由はない。
「何をすればいいの?」
「えっとね…上着を脱いでって」
「上着を?」
告げられる言葉に眉を顰め空を見上げる。
そこには相変わらず灼熱の太陽がぎらついていた。
上着を脱げば下は踊り子の衣装だ。確実に水琴の肌はあの太陽に焼かれるだろう。
「あんまり肌出したくないんだけど…」
「ちょっとだけだからって」
「それなら……」
いったいなぜ脱ぐ必要があるのか分からないが、渋っている時間はない。
水琴はさっさと上着を脱いだ。
じんわりと浮かんでいた汗が僅かな風に冷やされ感じる清涼感に水琴は思わず息を吐く。
通気性のいい上着とはいえ、やはり着ていれば暑い。
「で、脱いだけど?」
「ちょっと待って…」
大人しく待つが、目に見える範囲で特に変化はない。