第60章 目指せアルバーナ
「…よし、うまくいったな」
姿の消えた広場にサンジの声が響く。
「あとはこうしてやれば…!」
すらりと長い足を垂直に上げる。
勢いをつけ叩きつけられた橋は派手な音を立て粉々に砕けた。
騒ぎに気付いた客が店から出てくる中に紛れサンジは店内へと入る。
「さて、お姫様の救出に行くとしますかね」
***
「みんな大丈夫かなぁ」
マツゲの上で揺られながら水琴は小さく見える背後の町を振り返る。
町を出て数刻。これ以上離れれば帰るのが大変そうだ。
「ねぇチョッパー、まだなの?」
「もうすぐだって」
マツゲの言葉を通訳してくれるチョッパーに頷き返す。
もうすぐと言われれば大人しくついて行くしかないが、正直町のことが気になって落ち着かない。
「うまいことみんな救出できてればいいけど…」
「サンジのことだから大丈夫だよ」
「うん…そうだよね」
確かに彼ならばなんとかするだろう。
でもあの牢にはルフィたちだけではなくてスモーカーもいた。
果たしてサンジはスモーカーのことも救ってくれるだろうか。
それだけが水琴の気がかりだった。