第59章 ギャンブルの町
「クロコダイルの話だと、あと八時間後にはアルバーナで国王軍と反乱軍がぶつかるって……」
「なんだって…?あと八時間?!」
「クロコダイルの野郎、ふざけた真似を…ッ」
「どうしよう。急いでビビを助けに行かなきゃ…!」
「おぉーい!サンジ!みんな~!」
背後から聞こえる声に三人同時に振り向く。
この声は聞き覚えがある。
「チョッパー!それにマツゲも!」
「戻ってきたらみんないなくなってて、荷物も散乱してるし俺びっくりして…」
何かあったのか?と獣型で首を傾げるチョッパーに事の顛末を説明する。
「えぇ?!そんな、どうしよう…!」
「とりあえずやることは二つだ」
狼狽えるチョッパーに言い聞かせるようサンジが二本指を立てる。
「一つはあいつらの救出、もう一つはアルバーナまでの移動手段の確保。
うまく救出できたとしても、八時間以内にアルバーナへ着くためには最低人数分の馬が必要だ」
砂ぞり単体ならばやろうと思えば馬よりも早く走れるが、皆を運ぶとなると十分な速度は出ない。
他の移動手段が必要だった。
「砂漠を行くって考えたら馬でも厳しいな」
「そこらへんはビビちゃんがいればわかんだけどなぁ…」
「馬よりも早い乗り物って…」
考え込む水琴の肩をつんつんとマツゲが突く。
振り向けば何か言いたそうに首を振っていた。
「なに?マツゲ」
「俺の友達にめちゃくちゃ速い奴がいるから頼んで乗せてくれるって」
「え、本当?!」
チョッパーの通訳に顔を輝かせる。
状況を知った時はどうなることかと思ったが、なんだか希望が見えてきたようだ。