第59章 ギャンブルの町
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「おーおー、たくさん集まってんなァ」
路地裏から目的の場所を覗けば入り口を囲むように大勢の人がいた。
どう見てもカジノを楽しみに来たようには見えない。
「まずいな、バロックワークスの奴らか…」
「どうする?まだみんないないのに暴れるのもまずいよね」
そもそも他のみんなはどこにいるのか。中だとしたらここを突破しないといけないことになるが、ここからは騒ぎの音は聞こえてこない。
ならばまだ辿り着いていないのだろうか。
「まずはちょっと状況を確認したいところだな」
「じゃあ私探ってみようか?」
「そうだな、頼む」
頷き水琴は目を瞑る。風が巡り、バロックワークス社員の間をすり抜け建物の中へと潜っていった。
「………」
「どうだ?」
「カジノのスペースにはいないみたい…」
客たちが思い思いに楽しむ横を滑る。
まだ来ていない?それとももっと奥か…
奥に続く通路を抜ければ分かれ道。
ルフィたちの気を探るように風は抜けていく。
「………?!」
ようやく見えた光景に弾かれたように目を開けた水琴はまずい…と小さく呟いた。
「ルフィたち捕まっちゃってる…」
「はァッ?!」
「ちょ、水琴ちゃん詳しく状況教えてくれ」
「あのね……」
水琴は自分が見たものを詳しく説明する。
捕まっているルフィたちの情報もそうだが、より厄介なのはユートピア作戦の方だった。
ナノハナで行われる最終作戦。
国王を誘拐した上で、国民の目の前で国王に扮したボンクレーに黒幕だと自白させる。
そうして国への不信を煽ったところに、武器を積んだ巨大船を突っ込ませ、町を混乱に陥れる。
国王軍の横暴。火が放たれた町。
そして大量の武器。
それだけで最大最悪の反乱を起こすには十分だ。