第59章 ギャンブルの町
「お、そりゃラッキーだな。じゃあチョッパーはマツゲと一緒にその友達とやらを迎えに行ってくれ」
「おう!」
「俺はどうにかして中に潜入しビビちゃんたちを救出する」
「でも中にはクロコダイルがいるんだよ?鉢合わせたりしたらサンジが危ないよ」
「あっちに顔は割れてないからばれなきゃ問題ないが、確かに可能ならあいつらをおびき出せたらいいんだが…」
「それならいい案があるぜ」
楽し気なエースの声に皆の視線が集まる。
「そろそろ退屈してきたところだ。囮役は任せろよ」
「囮?」
「何人かルフィの仲間を取り逃しているのは気付いてんだろ。電伝虫で捕まえたとか連絡しておびき出して喧嘩売れば、あいつだって無視はできねェさ」
「そ、そうかもしれないけど」
エースの言葉はもっともだが、それを言い出したのがエースだということに水琴は僅かに戸惑った。
あれだけ白ひげとして口出しすることはできないと言っていたのだから当然今回も積極的に動くとは思っていなかったのだ。
もちろんお願いすれば快く引き受けてくれたとは思うが、今までとは違う様子のエースに水琴は目を瞬かせる。
「……いいのか?下手すれば白ひげの関与だって大騒ぎになるぞ」
「ばれるようなヘマはしないさ。それに別にぶっ飛ばすわけじゃねェし。もうあいつらの船沈めちまってるし、今更だろ」
肩をすくめそう言われれば確かにと納得する。
確かにあれはよかったのかと思うが、あれは降りかかった火の粉を振り払っただけなのでノーカンだろう。
「それじゃあ作戦はこうだ。俺が電伝虫でクロコダイルをおびき出す。エースは広場で適当に暴れてくれ。クロコダイルが広場を離れたら俺が潜入、水琴とチョッパーはマツゲを連れて逃げる準備をしていてくれ」
「わ、分かった!」
「さて、やるか」
こきりと首を鳴らしエースが楽しそうに呟く。
広場のミリオンズを嬉々として体術のみでぶっ飛ばしていくエースの姿を見て、水琴はひっそりと彼らに同情したという。