第59章 ギャンブルの町
「クロコダイルのいるレインベースというオアシスはここ。徒歩なら丸一日砂漠を歩くことになるけど、砂ぞりなら半日くらいで着くと思うわ」
地図を広げある一点をビビは指す。
反乱軍に会うのではなく、直接元凶であるクロコダイルを叩くことに決めた一行は丸く地図を囲むように座りビビの指先を見つめた。
「そこには水あるかなぁ」
「えぇ、あそこは反乱とは無縁のギャンブルの町だから」
「いやーんギャンブル?」
「おいおい何考えてんだ」
チョッパーに答えるビビの言葉にナミが反応する。
相変わらずのナミの反応にゾロは荷物を縛りながら溜息を吐いた。
「しかし同じアラバスタでもこうも違うんだなぁ」
「この国って広いしね」
サンジの感心するような声に改めてこの国の大きさを思い知る。
きっと装備を整えられるのはここが最後になるだろう。
荷物を整理しながら皆準備を進める。
「ちょっといいかな」
それぞれがばたばたと動き回っているとノックと共にトトが現れた。
彼の姿を見て一番にビビが走り寄る。
「トトおじさん!どうしたの?」
「レインベースへ向かうと聞いてね。…ルフィ君。これを」
差し出されたのは小ぶりな樽だった。
首からかけられるようになっているそれは先にストローが付いており、揺れるたびに中からちゃぷんと水が揺れる音がした。
「これは?」
「ついさっき水源のある地層までたどり着いてね。それだけなんとか蒸留させた」
手伝ってくれた礼だ。君にあげよう、とトトはルフィにその樽を差し出す。
「ほんとか?!ありがとうカラカラのおっさん!」
その小さな樽をルフィは嬉しそうに受け取り首にかけた。
「いいなぁ~。なぁルフィ、ちょっとだけ飲ませてくれよ」
「だめだ!これはカラカラのおっさんが必死に掘ってくれた水だぞ?!そう簡単に飲んじゃダメなんだ!」
物欲しそうに手を伸ばすウソップから腕を伸ばし樽を遠ざける。
いっちょ前のセリフに思わず水琴とエースは笑みを浮かべた。