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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第58章 ユバ






 「おいおい、こりゃあ何の騒ぎだ?」
 「あ、二人とも大丈夫?」
 「それが、ルフィが突然“やめた”って言いだしてよう…」



 「反乱軍も国王軍も!この国の人たちは誰も悪くないのに!
  なぜ誰かが死ななきゃならないの?!
  悪いのは全部クロコダイルなのに!」

 「んぎぎ…」


 頬を打たれたルフィがゆっくり立ち上がる。
 そしてそのままビビの頬を同じように殴った。


 「ちょ…っ!」


 さすがにそれはどうかと水琴は仲裁に入ろうとするが、やはりエースに阻まれる。


 「エース!でも…!」
 「いいから見とけ」


 「じゃあなんでお前は命を懸けてんだ!!」


 ルフィの一言にはっとさせられる。


 ルフィの言葉はその場の誰もが感じたことだろう。
 
 いつだって、ビビは覚悟したような笑みを浮かべていた。
 それはきっと二年前この国を飛び出した時からしていた、覚悟。


 何があっても、たとえこの命を犠牲にしても。

 この国を救うという、覚悟。




 「この国を見りゃ一番にやんなきゃいけないことくらい、おれにだってわかるぞ!
  お前なんかの命一個で足りるもんか!!」


 最初の一発以外甘んじてビビの攻撃を受けるルフィはそれでも言葉をやめない。 


 「じゃあいったい何をかけたらいいのよ!他にかけられるものなんて、私、何も…っ!!」


 振り上げられたビビの腕をルフィが掴む。


 「おれ達の命くらい一緒にかけてみろ!!

  仲間だろうがっ!!」


 勢いに押されるように、ビビの瞳から涙がこぼれた。
 それは、出会った時から初めて目にするもので。

 一度落ちた涙は止まることを知らず、ビビの頬を流れる。


 「…なんだ。出るんじゃねぇか、涙」


 ルフィの言葉にビビは隠すようにフードを被る。
 
 そうやって、押し殺してきたのだ。
 けれどそれはもう必要ない。


 「本当はお前が一番悔しくて、あいつをぶっ飛ばしてぇんだ」


 静かにビビの肩を抱く。
 もう一人だけで重荷を背負う必要はないのだ。
 




 「__教えろよ、クロコダイルの居場所」




 
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