第58章 ユバ
「__うん。決めた」
すっきりした気持ちを吐き出すように伸びをする。
「何を?」
「私、ここで出来ることを探す」
白ひげだから、と言い訳をするのはやめた。
友達として見守るだけじゃなくて、彼女を私なりに守れる方法を探したい。
「何も出来ないって諦めたら、それこそ何もできないでしょ?」
「…なるほど、そりゃ道理だな」
水琴の決意をエースは否定しない。
そうやって結局いつもエースは水琴を甘やかすのだ。
「ま、お手並み拝見といくかな」
「見ててよね。絶対に見つけてやるから」
隣同士拳を合わせる。
そろそろ身体を休めようと二人立ち上がり、借りている宿へと向かった。
***
扉を開ければ水琴の視界に木製の樽が一杯に迫る。
咄嗟のことで思わず目を瞑ってしまった水琴にそれはぶつかりもせず、かといって通り抜けることもなく、背後から伸ばされたエースの手によって受け止められた。
「…び、びっくりした…」
ありがとエース、と見上げればエースの怪訝そうな目は室内へと向けられていた。
何かと思い水琴も室内へと目をやる。
そこではルフィにビビが掴みかかっているところだった。
その剣幕に止めに入ろうと一歩踏み出すがエースの腕に止められる。
抗議しようと口を開けばいいから黙っとけ、と遮られ水琴は黙る。