第58章 ユバ
「あの…この町には反乱軍がいると聞いたのですが…」
王女とばれぬよう、顔を隠しながらビビはそう男に尋ねる。
と、ただ動作を繰り返していた男が初めてルフィたちの方を向いた。
その視線は鋭い。
「反乱軍だと…?貴様ら反乱軍に何の用だ!
まさか、志願したいなどという輩じゃあるまいな!!」
「わぁっ?!なんだなんだいきなり!!」
手にしていたスコップを振り上げルフィを怒鳴りつける。
突然の剣幕に言葉を放ったビビはもちろん一行はみな慌てた。
「ち、違うんです!私たち別に志願するわけじゃなくて…!」
どうにかなだめようと声を掛ければ男はがくりと膝をついた。
細くやせ衰えた身体をゆっくりと動かし再び穴を掘る動作に戻る。
「…あのバカ共なら、もうこの町にはいない……」
「……!」
エースの読みが当たってしまい水琴は目を伏せる。
「そんな!どうして…!」
「たった今、ここに砂嵐が来たが今に始まったことじゃない。
三年前からの日照り続きで砂は乾ききって、この町は頻繁に砂嵐に襲われるようになった…」
度重なる砂嵐による砂地の上昇。
最初は復興しようとしていた町の皆も、次第に一人また一人と町を出ていった。
あとはエースの考えた通りだ。
「反乱軍はカトレアに本拠地を移したんだ」
「カトレア…?!」
「なんだビビ、それって近いのか?」
「…っ、ナノハナの隣にあるオアシスよ」
「ナノハナ?!おいそれって最初の場所じゃねェか。そんならおれ達ァ何のためにここまで…!」
まさかの灯台下暗しの事態に場に困惑が生まれる。
しかしその中でただ一人別の言葉を拾い上げた者がいた。