第57章 砂漠の海賊
無駄に不安を覚えている水琴の目の前で、砂が大きく盛り上がった。
砂ぞりの進路を遮るように巨大なサソリが現れる。
「なんでこの砂漠の生き物はみんな巨大なの?!」
「戻ったらビビに聞け!」
ちょっとパス、とエースが帆を操作する紐を水琴へ放る。
慌ててそれを掴み操作を変わると、エースは大きく腕を引いた。
「火拳ッ!!」
巨大サソリはあっという間に業火に包まれる。
しかし、砂ぞりとの距離は近くどう頑張っても激突コースだ。
「ぶつかるぅぅうう!!!」
「水琴!飛び越えろ!!」
「はぁ?!」
突然のエースの言葉に耳を疑う。
「こんな大きいの運んでるのに出来るわけ…!」
「出来る!お前なら!」
「どんな自信?!」
「急げ、ぶつかるぞ!」
「__あぁもう!」
なるようになれ、と水琴は腹をくくる。
「旋風!!」
速度はもう十分に出てる。
砂ぞりを持ち上げるように、水琴は下から吹き上げる風を生んだ。
煽られ、砂ぞりは大きく弧を描いて宙を飛ぶ。
がくん!と強い衝撃。
少し滑り、砂ぞりは無事にサソリを乗り越え着地した。
「…死ぬかと思った」
「言ったろ。出来るって」
「だから、なんでそんな自信満々なの…」
「水琴だからな」
にかっとエースが笑う。
答えになってない。