第57章 砂漠の海賊
再びバルバロッサを見れば「よしわかった!」と強く手を打った。
「そこまで言うなら信用しようじゃねェか。ただし長くは待てねェ!今日の夕刻までに狩ってこなきゃ、ラクダは頂くぜ」
「それで十分です」
にっこりと水琴は笑みを作る。
乗組員の一人が水琴の縄を解こうと近寄る。
とその時、ぐらりと船が大きく揺れた。
何事かと周囲に走らせた目がマストに巻きついたルフィの手を捉える。
次の瞬間、大きな音を立ててマストがへし折れた。
***
「へェー!砂の上なのに海賊なのか!おもしれェな!」
メインマストを見事にへし折り突入したルフィだったが事情を聞き落ち着いたようだった。
「で、獲物を狩ってくればいいんだな。任しとけ!」
「いや、獲物の件はこっちの二人に頼んである。お前らにはどっちかっつーとこっちのマストをどうにかしてほしい。これじゃあ食糧が手に入っても船を走らせられねェ」
バルバロッサが折れたメインマストを見つめる。背後では男泣きに泣く乗組員達。
「マストの材料はオアシスにある。砂ぞりを貸すからそれで取って来て欲しい」
「砂ぞり?」
聞き慣れない言葉に水琴は首を傾げる。
「おォ、お前らにもよかったら貸すぞ。だが扱いが難しいからうまく乗りこなせるかどうか…」
「どんなもんなんだ?」
エースが尋ね見せられたものは例えて言うならばヨットとカヌーの中間のようなものだろうか。
「なるほど、風を受けた帆を操作して進むんだな」
「難しそう…」
「お前ならいけるだろ。風の方を操れるわけなんだし」
言われそういえばそうかと納得する。
向こうではルフィとビビが砂ぞりに乗り操作を確認している。
どうやら二人が行くようだ。
「きゃぁぁあああああ!!!」
ビビが帆を張った途端、突風が吹き二人はあっという間に見えなくなった。
「……やっぱ少し練習していこう」
「…そうだな」