第57章 砂漠の海賊
「これは快適ね!大分進んだわ」
「でもナミさん、みんなの姿が見えないけど…」
「……大丈夫かなぁ、みんな」
後ろを振り返り水琴は心配そうに呟く。
「足跡辿って追ってくるでしょ。もし消えててもエースが持ってるビブルカードがあるし」
確かにビブルカードがあれば行き先が分からなくなることはないだろう。
かといって、あまり距離が開きすぎるのも問題だ。
夜は合流して休まなければ、危ないのはどちらかと言うとこっちだろう。なんせ荷物は全て向こうが持っているのだ。
「あれ……」
「どうしたの?水琴さん」
「なんか音がする……」
ざざざ、と砂の流れる音。
いや、これは砂を走る音…?
まるで波のような音に三人は様子を窺う。
「__船?」
ざあ__と現れたのは巨大な船。
まるで海を行くように軽快に船は三人の目の前を横切っていく。
「ちょっと、止まったわよ」
そのまま通り過ぎていくと思いきや、船はゆっくりと停止した。
嫌な予感が三人の胸をよぎる。
「__お前ら、旅のもんか」
甲板に男が現れた。
大柄な男は三人を見下ろす。
「えぇ、まぁそんなとこ。私達に何か用?」
ナミが用心深く尋ねると、男は大きく頷いた。
「ここで会ったのも何かの縁。悪いがそのラクダ寄越してもらおうか」
男の唐突の申し出に三人は顔を見合わせる。
「無理よ。この子がいなくなったら私達旅が出来ないもの」
「申し訳ないですけど、他を当たってもらえませんか?」
「そうか…それじゃあしょうがねェな」
男が手を上げれば、甲板に銃を構えた男たちが現れる。
「__無理矢理頂くとしよう」
そんなことだと思った。