第56章 危険がいっぱい
「寒い……」
日も落ち、夜歩くのは危険だということで岩場を見つけ休憩に入る。
昼間とは異なり急激に冷えた空気に水琴は身を縮めた。
少しでも身体を温めようと細々と動いていたがもう限界だった。
「チョッパーあっためて!」
「うわぁ?!」
がばりとチョッパーに抱きつく。
もこもこの毛皮と動物特有の高い体温に水琴はうっとりと目を閉じる。
「ふわふわ…最高」
「あー!水琴ずりィぞ!チョッパー俺も!」
チョッパーを抱きしめる水琴を見てルフィもすかさず参戦する。
「うっはー!あったけェ!」
「俺はカイロじゃないぞ!」
「そう言わずに。チョッパーも温かいでしょう?」
「……うん」
その様子をビビは少し離れた場所から見守る。
水琴。
事故でこの船に乗り込んでから、成り行きでずっと旅をしてきた。
帰る手段も見つかって、これ以上ここに留まる必要もないのに、一緒について来てくれた。
__友達だから。
迎えに来たエースに向かって告げられた水琴の想いが心に刺さる。
どうして彼女はこんなに気に掛けてくれるのだろう。