第55章 砂漠の旅の始まり
「三人とも素敵だ!生きててよかった…」
「馬鹿じゃねぇのか」
「下ろすぞくそマリモ!!」
「やっぱ、これ恥ずかしい…」
普段しない露出に縮こまる水琴は、突如ばさりと頭から布を掛けられ慌てた。
「何?!」
頭を出し見上げれば不機嫌そうな顔のエース。
そう言えば水琴が現れてからずっと黙ったままだった。
「嫁入り前の女がそんな肌出すんじゃねェよ」
しまった。おかんモードが発動してしまった。
「好きで出してるんじゃないもん」
「じゃあ着とけ」
ありがたく上着を羽織りきっちりと前を閉める。
その様子をナミがにやにやと見守っていたのには気付かない。
「あれーー?!三人とも上着羽織っちゃうの?!」
「だって、肌を出してたら砂漠では焼けちゃうもの」
「ほら、もうすぐ船つけるわよー。準備して!」
「ようやく着いたー!」
「ここから砂漠越えか」
サンドラ河を上り、上陸する為の準備に駆け回るクルー達。
錨を下ろそうと手を掛けるゾロの視界で水面が揺れた。
「…なんだ、ありゃあ」
「カメか?」
「アザラシだろ」
「あれは…クンフージュゴン!」
クンフージュゴンはジェスチャーを交え何かを伝えようと話しかけている。
「ここから上陸したくば俺達と戦って勝って見せろ。それが出来ないなら向こう岸へ戻れ腰抜け、だってさ」
「ふふん。腰抜けだってぇ~?」
とう!と勢いよく飛び出していったウソップ。駄目よウソップさん!とビビが慌てて止めるが間に合わず。
「クンフージュゴンは強いから」
一瞬にして地に倒れるウソップ。
「あっちで勝ってるのもいるけど」
「勝っても駄目!クンフージュゴンは、負けた相手に弟子入りする習性があるの」
勝ったルフィにきらきらとした目を向けるクンフージュゴン。
「……増えてる」
「増やすなぁ!!」