第55章 砂漠の旅の始まり
「水琴。そりゃ何なんだ?」
左腕に巻かれた包帯を指差しエースが尋ねる。
説明を受けていて、エースは皆が同じところに巻いているのに気付いた。
「これはね、マネマネの実対策なんだ」
「マネマネの実?」
その場にいなかったエースに作戦の内容を説明する。
「エースもする?」
「あァ。ボンクレーって奴にコピーさせるつもりはねェが、そういう作戦ってなら付き合うぜ」
「じゃあやってあげるね。はい、左腕出してー」
エースの腕にも同じように印を刻み、包帯を巻く。
「何笑ってんだ?」
「え?ううん。なんでも」
漫画では確か、エースはこの場にいなかった。
ルフィと会ったのは黒ひげを追う道中だったのだ。彼らの邂逅は一瞬だった。
それが、今は一時的とはいえ同じ船に乗り、こうして冒険を共にしている。
これが嬉しくなくて何だというのだろう。
「一度船を止めるわよ!あんた達手伝って!」
甲板にナミの声が響く。その声で一斉にクルーが動いた。
的確な指示によりメリー号はサンドラ河の岸に寄り止まる。
「ナミ、どうしたの?」
「ビビがやりたいことがあるんだって」
見ればビビが手紙を手に立っていた。
カルーへ手紙を託し、先に国王へ伝えるつもりらしい。
見送るためにほとんどのクルーが船を降りる。