第55章 砂漠の旅の始まり
「でね。チョッパーはトナカイなんだけどヒトヒトの実を食べて喋れるようになったの。ドラムの医者で、最高の医学と心を受け継いでるんだよ!」
「モビーにもいるぞ、ドラム出身」
「そうなの?」
「あァ。ほらドクっているだろ。あのじーさんドラム出身だって昔話してたな」
「そうなんだ!道理で腕が良いわけだ」
サンドラ河を遡る道中、水琴はエースへクルーの説明をしていた。
「あっちで素振りしてるのはゾロ。最強の剣士を目指して修行中。それでね、あそこで海図見てるのはナミ。この船の一流航海士!さっき食堂にいたのはサンジとウソップで__」
「あーあ。楽しそうにしちゃって」
甲板の先で針路を確認していたナミは視界に入る様子に笑みを浮かべる。
この広い海でようやく仲間に会えたのだからはしゃぐのも無理はないが、少し妬ける。
別に今までの水琴がつまらなそうだったというわけではないが、一段と輝きのある笑顔に彼女にとって白ひげ海賊団が特別な存在であるということがよく分かった。
いや、もしかしたら“彼が”かもしれないが。
「ナミさん、ちょっといい?」
二人を眺めていたナミはビビの声に視線を逸らした。