第54章 友達だから
風を切り、ストライカーがぐんぐんと近づく。
海賊たちの声が徐々に大きくなってきた。
「火拳だ!火拳が来るぞ!!」
「迎え討て!!」
「大層な出迎えご苦労なこった」
息巻く海賊たちの様子ににやりと口元を吊り上げ、エースは更にストライカーを加速させる。
そして、飛んだ。
足を炎に変え、勢いをつけたエースの身体は軽々と数隻の艦隊を飛び越える。
そして海中を進み、丁度浮上してきたストライカーに危なげなく着地し、ぐっと腕を引いた。
「火拳ッッ!!!!」
ゴォッ__!!と熱の嵐が船を突き破る。
数隻の艦隊はあっという間に海へと沈んでいった。
「すげェ……」
「あれが……新世界……」
遠くからその様子を眺めていた麦わらの一味はその実力の違いにごくりと唾を飲み込む。
「おかえり」
「ただいま」
自分達が目指すものは、あまりにも遠い。