第54章 友達だから
「誰が勝つって?」
胸を張るルフィの後ろにふわりと影が降り立つ。
その勢いでルフィはころんと甲板に転がった。
「エース」
「よォ水琴。散歩にしちゃ随分と遠すぎねェか?」
にや、と笑うエースにわざとじゃないし!と水琴が咬みつく。
変わりのない様子に安堵したエースは呆然とエースを見つめる麦わらクルーをざっと見渡した。
「どうもみなさん。水琴が世話になったみたいだな、ありがとう」
ぺこり、と頭を下げるエースに思わず全員頭を下げる。
「それに弟も世話になってるみたいだな。大変だろ?こいつ無茶苦茶だからな。苦労を掛ける」
「…嘘よ、兄弟なんて絶対嘘」
「こんな礼儀正しい常識人がルフィの兄貴…?!」
信じられねェ、とサンジが呟く。
別の意味で驚くクルー達に気付くこともなく、エースは手摺から飛び降り水琴の横に並ぶ。
「改めて、おれァポートガス・D・エース」
よろしくな、と笑う表情はやはりルフィとよく似ている。