第54章 友達だから
「それで、エースさんがここにいるのはやっぱり水琴さんを探しに来たわけなの?」
ビビの疑問にあぁ、と頷く。
ぽんぽんと頭を叩かれる水琴は気まずそうに視線を逸らしている。
「突然船から消えちまったから焦ったさ。まさか弟の船に乗ってるとは思わなかったけどな」
「良い船だろ!」
「あぁ。良い海賊団だな」
メンバーをざっと見まわしエースは目を細める。
「エースも仲間になれよ!」
「それは遠慮する。俺は親父の船以外に乗る気はねェからな。
そうだ、お前こそ白ひげの船に来る気はないか?もちろん、仲間も一緒に」
「嫌だ!」
「プハハ、そうだろうな。言ってみただけだ」
ルフィの言葉は予想できたものだったのだろう。深追いはせずすぐにその話を引っ込める。
「それにしても、よく水琴の居場所が分かったわね」
「あァ。これが教えてくれたんだ」
ナミの言葉にエースはビブルカードを取り出す。
「なんだいそりゃあ」
「ビブルカードって言ってな。爪の切れ端や髪の毛を使って作るんだが、持ち主の居場所を知らせてくれるんだ」
手のひらの上に置けばそれはずりずりと隣の水琴の方に寄っていこうとする。
「勝手に動いてるぞ。不思議だな…」
「これは居場所だけじゃなくて持ち主の命の残量も示すことから別名“命の紙”とも呼ばれてる。新世界ではお馴染みだな」
「水琴も持ってるのか?」
「うん、持ってるよ。親父さんのでしょー。マルコやサッチとか隊長クラスのはみんなもらってる」
彼らの欠片はどんな時も手放さないよう大切にポーチの中にしまってある。
「へー、いいなそれ!俺も作りてぇ!」
予想通りの言葉に苦笑する。
「残念だけど、新世界にしか作れるお店がないの。だから当分お預けかな」
「なんだよー。つまんねーの」
「ルフィ」
口を尖らすルフィに向かってエースが何かを投げた。
ぱし、と受け取り見れば小さく折りたたまれた一枚の紙片。
「俺のビブルカードだ。持っとけよ」
「いいのか?サンキューエース!」
「それがいつか俺とお前を引き合わせる」
無くすなよ、と言えばおう!と元気よく応じた。