第54章 友達だから
「おい、どうだルフィ」
小さな桟橋へ出た二人はルフィの船を捜す。
「ん~~…お!いた!!」
しばらくしてルフィが声を上げた。指差す先には確かに羊の船首のついたキャラベルが見えた。
その甲板にはちらりと水琴の姿も見える。
「火拳だ!!討ち取れ!!」
「ひるむな、全員でかかれ!」
後ろから再び男達の声がする。
「あいつらまだやる気か…」
ある意味その根性は賞賛する。
「おいルフィ。あいつらはおれが相手するからお前は先に…って聞いちゃいねェな」
すでに姿の見えない弟を確認し溜息をつく。
「あーお前ら。悪いことは言わねェから止めとけよ」
「うるせぇ!ここで引けるか!」
ぞろりと桟橋のエースを見下ろす男達。
「名を挙げるチャンスだ!諦められるか!」
「気持ちは分かる。だが、相手が悪かったな」
テンガロンハットを被り直し、エースはそっと人差し指を立てる。
「__蛍火」
小さく呟かれたのと同時、男達の目の前にそれぞれ小さな炎が灯る。
それは一瞬ちらりと揺れた後、その大きさに似合わぬ威力で燃え上がり爆発した。
「ぐはぁっ!!」
「うぐぅ…?!」
爆発をもろに受けた男達は仰け反り倒れる。
「悪ィな。少し寝てろよ」
桟橋から隠しておいたストライカーへ飛び乗り、エースはメリー号を目指した。