第54章 友達だから
「…で、お前の船ってどんな形なんだ」
「あのなぁ、頭が羊で、蜜柑の木があんだ!」
そこをあっさり通り抜け平然と歩き続ける二人。
「……くぉおらぁぁ!」
無視された形となった男は怒りで顔を染め振り向く。
「てめェら俺を無視しやがって…やっちまえ!!」
男の号令と共に複数の男がルフィとエースへ躍りかかった。
ふっと腰を落とし素早く避け、蹴りを繰り出すエース。
「おっとっと!」
器用に避け、頭上に張られたロープへ手を伸ばし距離を取ると、勢いを付け男達を吹き飛ばすルフィ。
あっという間に男達を地に沈めた二人は再び歩き始める。
「羊に蜜柑って、どんな組み合わせだよ」
「蜜柑はな、勝手に採ったらナミが怒るんだ」
「そうじゃなくてな。おれが言いたいのはどんな船体なのかってことで…」
「待てぇぇえい!!」
尚も二人を呼び止める男に二人はようやく足を止め振り返る。
「しつこいなぁおっさん」
「いい加減諦めろ」
「諦められるかぁ!せっかくのチャンス、逃してたまるかぁ!!」
剣を抜き、一気に距離を詰める。
振りかぶった渾身の一撃を、エースは指先で軽く受け止めた。
「んなっ?!」
ピクリともしない剣先に驚愕する。
体格だけで言えば、男はエースより二回り以上ある。
そんな男の両手で振り下ろされた一撃とエースの指二本が同等、むしろ押されているという事実に男はしばし唖然とした。
ボゥッ、とエースの手が燃える。
「熱ィ!!」
炎により一気に熱くなった剣を思わず放す。
そしてそんな男の懐にルフィが伸ばした両腕が見事に入った。
「バズーカァァ!!!」
「んぎゃぁぁああああ?!?!」
空の彼方へ飛んでいくとこを見て他のメンバーは呆然とする。
「とりあえず海目指すぞ。沖を見ればどこかに見えるだろ」
「まったく、あいつら何はぐれてんだ」
「いや、はぐれたのお前だろ」
そんな男達に一瞥もくれず、二人は海へと歩いていった。