第54章 友達だから
「水琴のこと知ってんのか?」
「知ってるも何も、同じ船に乗る仲間だ。白ひげ海賊団って知ってるか?」
「あぁ、水琴が言ってた!」
「おれは二番隊隊長。あいつは一番隊隊長補佐だ」
「へー。そうだったんだな」
しかし相変わらず無茶苦茶してんなお前は、とエースは水の入った袋をルフィに投げ与える。
「新聞で見たぜ。随分と暴れ回ってるみたいじゃねェか」
「そうだ!俺よぉ、すっげー冒険いっぱいしたんだ!」
きらきらと、今にも話しだしそうなルフィに指を突き付け押し留める。
「話は歩きながらだ。とりあえずお前の仲間と合流するぞ」
船はどこだと尋ねるエースに対してさぁと首を傾げるルフィ。
「お前なァ、自分の船の位置くらいちゃんと覚えとけよ。船長として」
並んで歩く二人の周囲に複数の気配が生まれる。
ざざっ!とあっという間に大勢の男たちが二人を取り囲んだ。
「お前がボスの言ってた麦わらだな」
「お前を倒せば昇格するチャンスだ!」
バロックワークスビリオンズがそれぞれ獲物を手に構える。
「…おい、こっちの男、もしかして火拳じゃねェか…?」
隣に立つエースにふと誰かが気付いた。
マントは羽織ったままだが、顔を隠しているわけじゃないため知る者が見ればすぐに気付く。
「やっぱりそうだ。火拳を討てば一気に昇格するぞ!」
「今日の俺はついてる!両方まとめて始末してやる!」
男達のボスらしき男が俄然やる気を出し二人の前へ立ちふさがる。