第52章 合流
「……異世界の民の血は、万能薬になるんだ」
黙って聞いていたチョッパーが口を開く。
「ドクトリーヌが集めてた文献に載ってた。異世界の民の血は万能薬に、肉は不老不死の秘薬にって。でも加減を間違えれば口にした者を呪われた不死者にしちゃうんだ」
「不死者……」
「なるほど。それで納得だな」
「海軍はその異世界の民の血肉を手に入れるためにOnly Aliveなんて条件を付けたんだ」
胸糞悪ィ、とサンジが毒づく。
「異世界の民はそんなに確認されてないから、よく分かってないんだ。一説によると悪魔の実の力を増幅する作用もあるって話だけど…水琴自身も血のことはよく分からないって言ってた」
「それが本当なら、能力者は喉から手が出るほど欲しいだろうな」
「そっか、それであの時水琴…」
ナミはドラム島で泣きそうな顔で自分を見つめていた水琴の顔を思い出す。
あれは、治せない自分を責めるものだったのだ。
「ということは、水琴を狙う奴は異世界の民の正体を知って狙ってるかもしれないってことか…?」
「まぁ、見た目が見た目だから楽な獲物だと思って狙う小物もいるとは思うけどな」
「少なくともさっき見かけた男は小物って感じじゃなかったな」
いつも明るく振る舞っていた水琴の置かれていた状況を知り、沈黙する。
同じ人間だと思っていた者から、“喰われる対象”として狙われる気分は想像も出来ない。
「早く水琴さんとルフィさんを見つけましょう」
ビビの言葉に頷く。
「俺はここで荷物を見てる。顔を合わせてるからな、怪しまれたら面倒だ」
サンジを残し、他のクルーは水琴達を捜すため通りへ出た。