第51章 空に舞うは桃色の雪
「くしゅん!」
ドラム島を出て二日。
水琴はナミの代わりにベッドに寝込んでいた。
「完全に風邪ね」
「無茶するから」
返す言葉もない。ナミを早くドラムへと焦るあまり、自分の体調管理を怠っていたことは事実だ。
緊張の糸が緩んだせいで、水琴は見事に風邪を引いていた。
「しばらくは絶対安静!能力使うのも禁止ね」
「別に寝てても風は起こせるよ」
「駄目だぞ。能力使うのは結構身体に負担が掛かるんだ。弱ってるんだからちゃんと寝てないと」
船医となったチョッパーにそう言われてはしょうがない。水琴は大人しく布団にくるまり、ビビを見上げる。
「ごめんねビビ。急いでアラバスタに行かなきゃいけない時なのに」
「気にしないで水琴さん。今までの分でもう十分よ。思ったよりずっと早くアラバスタに着けそう」
だから今はしっかり休んで、と念を押される。
「間違っても甲板へ出てこないように」
「……はい」
ナミに念を押され水琴は大人しく頷いた。
「じゃあチョッパー。水琴よろしくね」
チョッパーに任せ二人は出ていく。
「あー、風邪引いたの久しぶり」
「水琴ちゃーん!特製粥です。どうぞ」
「それ食べたら薬飲んで寝るんだぞ」
「はーい」
水琴のダウンにより速度の落ちたメリー号がアラバスタに到着するのはそれから五日後。