第51章 空に舞うは桃色の雪
__がた、
どこかで物音が聞こえた。
しんと静まり返る城の中でそれはやけに大きく響いた。
ルフィやサンジが戻ってきた?
それにしては声が聞こえない。
少し様子を見てみよう、と水琴は部屋を抜け出す。
廊下へ出て辺りを見渡すと、大きな影が見えた。
「……あ」
「………あ!お前!」
吹き抜けの下にいるのは海の上で出会ったワポル。
どうやら戻ってきていたらしい。
なにやら騒がしいと思っていたら、そうか。門前でワポルたちと戦っていたのか。
記憶に修正が入っていたとはいえ、呑気に寝こけていて申し訳なかった。
「お前確か麦わらの仲間だな!やっぱりドラム島のこと知ってたんじゃねェか、騙しやがって!」
水琴を指差し盛大に非難するワポル。
否定したいが、水琴に限っては否定できないのが痛い。
「覚悟しやがれ!」
「やばっ…!」
水琴に向かってこようとするワポル。
水琴の背後にはナミがいる。
まだ体調が万全でないナミを見つけられたくない、と水琴は吹き抜けから飛び降りる。
「ぬぅ?!」
風となり衝撃を和らげると、ワポルと対峙する。
「悪魔の実か!」
「これ以上先には進ませない」
風を纏い威嚇する。ワポルがバクバクの実の能力であることは知っている。倒せなくても多少時間は稼げるだろう。
「どいつもこいつも、俺様に歯向かうとはカバばっかりか…!」
ぎらり、とワポルの目が水琴を睨む。
「突風!」
先手必勝、と水琴は巨大な風をワポルへ叩きつけた。
もろに食らったワポルは壁の端まで吹っ飛ぶ。
あれ、意外に弱い?
「なにすんだこらぁ!」
「ご、ごめんなさい…」
何故か怒られ反射的に謝ってしまう。