第50章 存在の定義
「おいトナカイ、お前あいつを仕留められるか?」
チョッパーを見下す冷たい二つの視線に、熱くなった心は容易には冷やされない。
「なんてことねェ、あんな奴!」
「じゃあ決まりだな。おれの相手は邪魔口だ!」
チョッパーの言葉を受け、ルフィは拳を合わせワポルへと対峙した。
すぐ傍に立つルフィに奮い立たされるかのごとく、チョッパーもまたチェスマリーモと対峙する。
「もう迷わないぞ…!」
「お前がおれを倒せるって?えェ、”化け物”!」
いつもなら、チョッパーの心を深く傷つけるその言葉も、今はただ耳を滑るだけ。
__他人が、私たちをそう呼ぶのを止めることは出来ないよ
水琴の凛とした声が耳の奥に響く。
__だけど、私たちがどうあるかを決めるのは、いつだって自分自身なんだよ
自分が、どうありたいのか。
たったひとつの答えを出すのに、チョッパーは随分と遠回りをしてしまった。
でも、もう迷わない。
__ねぇ ”君は誰?”
「おれの名前は”トニー・トニー・チョッパー”
世界で一番偉大な医者がくれた名前だ!」
”誇り”を胸に、チョッパーは叫ぶ。
「いくらドクターがお前らを許しても!ドクターの生き方を笑ったお前らを、おれは許さない!!」