第50章 存在の定義
「むははは残念だったな!ワポル様にはこのおれが指一本触れさせん!」
チョッパーの前に立ちはだかるチェスマリーモはその姿を見て嘲笑った。
「しかしおかしな生物がいたもんだ。一時期国民が雪男だと騒いでいた元凶はお前だな。
どうせ誰からも好かれねェ人生を送ってきたんだろう、哀れな怪物よ!」
その言葉は容赦なくチョッパーの心をえぐるが、チョッパーはひとつの想いを胸に立ち続ける。
仲間はいない。誰にも好かれていない。その通りだ。
それでもチョッパーの心にはたった一つの旗がはためき続けている。
「独りぼっちのお前が何のためにこの国を救おうってんだ!笑わせるな!!」
「うるせェ!!仲間なんかいなくったって、おれは戦えるんだ!ドクターの旗がある限り、おれは……!」
「仲間なら、いるさ」
チョッパーの言葉を遮るように、ルフィの声が響く。
見上げれば、旗を掴んだ腕をゴムのように伸ばし眼下を見下ろすルフィがいた。
「おれが仲間だ!」
パチンコの玉のように勢いよく飛び出したルフィはワポル目掛けて落下する。
自身を狙うルフィをワポルはすんでのところで避けた。
激しく舞い散る雪がその衝撃を物語っているが、雪煙の間から立ち上がるルフィはぴんぴんしている。
「麦わら帽子!お前大丈夫か?!」
「おれは平気さ。ゴムだから」
「ゴム?!」
ゴム人間など聞いたことがない、とチョッパーは驚く。
そんな驚きを無視し、ルフィはチェスマリーモを指さした。