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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第50章 存在の定義






 でも、本当にそうだろうか?




 ぽてりと木箱に背中を預け、チョッパーは水琴のことを思い出す。




 自分は異質だと言った水琴。

 助かった仲間を見て、安堵に震え泣いていた小さな背中。

 友達になろうと、手を差し出してくれた。







 彼女と一緒にいるニンゲン達なら。

 もしかしたら、受け入れてくれるのではないか。



 小さな想いがチョッパーの心にそっと生まれる。





 「みーっけ」


 突然チョッパーに影がさした。

 驚いて見上げれば水琴がにっこりと笑っている。


 「こんなとこにいたんだ。ルフィからよく逃げ切れてるね」

 よ、と言って水琴はチョッパーの横に腰かける。


 「お、お前も仲間になれって誘いに来たのか…?」
 「違うよ」

 まさかの否定に逆にチョッパーが驚く。

 「私は今はルフィ達と一緒にいるけど、本当は別の船の海賊だから。私が勝手に勧誘は出来ないよ」
 「……そうなのか?」
 「うん。ちょっとはぐれちゃって、帰る道探してるんだ」

 そう言う水琴の表情は少し寂しそうだ。

 「早く帰りたいのか?」
 「そりゃね。でも、この船のみんなも好きだから、別に平気だよ」

 にっこり笑う水琴の表情に嘘はない。

 「……なんで、あいつらは俺を誘うんだろ…」
 「仲間になってほしいからじゃない?」 
 「でも!俺はトナカイだし…化け物だ!」


 帽子をぐっと被り表情を隠して怒鳴る。


 思い出す。
 石を投げられたこともあった。
 銃で撃たれたこともあった。



 化け物と、自分を見るニンゲン達の恐怖の視線。


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