第50章 存在の定義
「__この世に生まれた瞬間に、”親”に気味が悪いと見放された」
ただ、鼻が青いというだけで。
生まれたばかりの子どもは群れの最後尾を一人寂しく歩くのが常となった。
そして群れでの扱いは悪魔の実を食べて決定的となり。
とうとう群れから追い出され、それでも仲間が欲しくて今度は人里へ向かい。
そこでも完全に人と同じ姿は取れず、化け物と追い立てられ銃で撃たれた。
「何が悪いのか分からない。何を恨めばいいのかも分からない。ただ仲間が欲しかっただけなのに”化け物”と呼ばれる。
もうトナカイでもない。人間でもない。あいつはね……
__そうやって、たった独りで生きてきたんだ……」
お前たちに、あいつの心が癒せるかい?
静かな問いは確かな重みをもち水琴たちへと投げ掛けられた。
***
「なんなんだ、あいつ……」
ルフィから逃げ続け、チョッパーは物陰でぜぇはぁと荒くなった息を整える。
「俺を、仲間にだなんて…」
化け物だ!と驚きながらも仲間になれと満面の笑みで追いかけてくるルフィに戸惑いを隠せない。
チョッパーにとって、ニンゲンは恐怖の対象だった。
ドクターやドクトリーヌ以外のニンゲンは、皆チョッパーを化け物と呼び、迫害した。
あいつらだって、きっとそうだ。
今は仲間になれなんて言ってるけど、もっとチョッパーのことを知れば怯え、拒絶するに違いない。
どうせ、嫌われるなら。
最初から、近づきたくなんてない。