第49章 魔女
「私がこの島を出ていくことで疑いが晴れるなら、喜んで出ていきます。だから、お願いします。彼らはこのまま置いてください。みんなは、私の血のことは知らないから…」
頭を下げる。
そんな水琴を黙ってDr.くれはは見下ろしていた。
「……あ、水琴…?」
ナミの漏らす声にばっと振り返る。
「ナミ!気が付いたの?」
「ここ……」
「ドラム城だよ。気分は?」
「そうね、大分楽……」
良かった、と水琴がナミの頭を撫でる。
その様子にナミは手を伸ばす。
「……何、泣きそうな顔してんのよ」
「ナミ……」
「大丈夫よ、こんなの。すぐに治しちゃうから…」
すぅ、とナミは再び目を閉じる。
伸ばされた手を握り、水琴は俯いた。
震える背中に、Dr.くれはは声を掛けない。
そしてそのまま部屋を出ていった。
後には、すすり泣く水琴の声だけが聞こえた。
***
時は少し遡り、まだルフィたちがドラム城を目指し山を登っている頃。
港に一隻の船が近づいた。
「変わることなく悠然とそびえる大自然よ!チェス!おれの城は無事か!」
「変わりなく健在でございますワポル様」
見張りを倒したワポルがついに辿り着いた”最愛の国”を前に喜びの声を上げる。
「ならば、さァ城へ!我が城へ帰るのだ!
海賊などはもうやめだ!王様に戻るぞ!」
再び嵐が起きようとしていた。