第49章 魔女
風となり水琴は城の中を駆ける。
Dr.くれはがここに居るということは、やはりここはドラム城で間違いない。
またいつ下へ下りてしまうか分からない。彼女がここにいる間にナミを連れてきて診てもらわなければならない。
先程最後に見たルフィの姿を思い出し水琴の中に焦りが生まれる。先の雪崩といい、無事でいてほしいと城門をくぐりドラムロックの縁へ寄った。
下を覗きこむが、ルフィ達の姿は見えない。
風はいまだ強く吹いているが、さっきの吹雪ほどではない。水琴は意を決して飛び降りた。
「ルフィ……!」
少し下ると、サンジとナミを抱えて絶壁を登るルフィの姿があった。
その手足は血に塗れ痛々しい。
ずる、とその手が滑った。
途端に重力がルフィを死へと引っ張る。
「ルフィ!!」
咄嗟に風を起こし、ルフィ達の身体を支える。
そのまま風の勢いを利用して上へと放り投げた。
ふわりとルフィ達の身体が雪へと着地する。
「ルフィ!ルフィ!!」
上へ戻った水琴はルフィへと駆け寄る。
「あ…水琴……」
「ごめん、ごめんねルフィ。私がもっと早く辿り着けてたら…!」
全身を凍傷寸前にまで凍りつかせ、血塗れになったルフィをぎゅっと抱きしめる。
「医者…医者は……」
「いる。いるよ!大丈夫、みんなルフィのおかげで助かるよ…!」
ぽろぽろと涙が溢れる。
こんなになりながら、仲間を心配するルフィを少しでも温められるよう、水琴は抱きしめ続ける。