第48章 吹雪の中で
「ルフィたちは……」
今どの辺りだろうか。
そろそろ追いかけた方がいいかもしれない、と風の向こう側を仰ぎ見た時だった。
水琴の風の壁が外側から破られ冷たい吹雪が吹き込んでくる。
「えっ……!」
あっという間に風に煽られ、水琴は宙を舞った。
咄嗟に体制を立て直そうとするもまるで嵐の中海に放り出されたようにバランスが取れない。
受け身を取る暇もなく、水琴は木に叩きつけられた。
「く、ぅ……」
ふらりと揺れる視界にもうもうと迫る雪の壁が映る。
「雪崩……?!」
慌てて上空へと避難する。足元を雪の濁流が襲い、あと少し遅かったらと思うと水琴はぞっとした。
見渡せばかなりの広範囲で起こったようだ。
先程水琴の風を破ったのは雪崩で引き起こされた風だろう。だとしたら雪崩の威力は如何程か。
「っみんな……!」
彼らも巻き込まれたのではないかと水琴はルフィたちが進んだ方へ駆ける。
収まりかけていた吹雪は雪崩を引き金としたように更に激しさを増し水琴に襲いかかっていた。
だがそんなことで挫けてはいられない。必死にバランスを取りながら空を飛ぶ水琴の視界でちらりと麦わら帽子が揺れた。
「ル……」
声を上げかけた水琴を突風が襲う。
先程までとは比較にならない風の暴力に水琴は成す術もなく更に上へと突き上げられる。
「____っ!」
どれくらい吹き飛ばされたのか。
空へ舞い上がった水琴は、どさりと柔らかい雪の上へ落ちた。
「げほっ、は、…っう……」
身体が引きちぎれたような痛みが水琴を襲う。
意識が薄れていく。
ここで気絶したら、間違いなく死ぬだろう。