第48章 吹雪の中で
心配なのは置いてきてしまった水琴だが、遠い海上から島を見つけることができるのだから、彼女ならば自分たちの居場所もすぐに分かるだろう。
ナミの様子を見ながら一歩一歩前に進む。
あと少しで麓というところだった。
上の方に何かが見える。
「なんだァ?あいつら……」
先程までサンジたちを狙っていたラパーンが何やら飛び跳ねている。
首を捻るサンジだったがラパーンらが意図していることを悟りポトリと咥えていたタバコを落とした。
「やばいぞ……あいつらやりやがった、畜生」
「なんだ、どうした?サンジ」
「__逃げろ、ルフィ」
ラパーンの巨体が跳ねるたびに振動は雪に伝わり徐々に地面に亀裂が生じる。
それは連鎖しあちこちで雪が重力に従い下へ下へと滑り始めた。
その量はすさまじく、ちっぽけな人間など簡単に一呑みにしてしまう、自然の驚異。
「逃げろ!!雪崩だァ!!」
巨大な雪の津波がサンジたちを呑み込もうと迫った。
***
すぐ横に迫る鋭い爪を紙一重で避ける。
背後から飛び掛かってきた一体を風となり避け、水琴は空中へと避難した。
しかしラパーンの脚力が相手では空中すら安全地帯とはならない。
「突風!」
水琴を狙い飛び上がった二体を風で叩き落し、水琴は大きく息を吐いた。
ラパーンを相手にし始めてから小一時間経つ。
敏捷性はこちらの方が高いが、体力は圧倒的に向こうの方が有利だ。
このまま続ければいずれ捕まってしまうだろう。