第48章 吹雪の中で
「水琴ちゃん!!」
巨大な風が辺りを蹂躙したかと思えば、目の前には風の柱が出現していた。
助けに行こうにも風の勢いは強く近寄ることすら出来ない。
その向こうから幸運にも風から逃れたラパーンが駆けてくるのを見て、サンジは先に進むことを決断した。
「行くぞルフィ!」
「でも水琴は!」
「今はナミさんが先決だ!水琴ちゃんの想いを無駄にするのか!」
勝算がなければ水琴とてこのような事はしないだろう。
無事を願いサンジは他のラパーンからナミを守るため奔走する。
「サンジ、あっち上がれそうだ!」
「よし、お前先に行け!」
山の頂上を目指しルフィとサンジはひたすら走る。
時折襲ってくるラパーンも数が少ないためあしらうのは容易だった。
いける、とサンジは活路を見出す。
だが不意にラパーンたちが距離を取り始めた。
雪に紛れ遠ざかる気配に訝しむもようやく息がつけるとサンジは立ち止まる。
「ルフィ。ナミさんは無事か」
「おぉ」
背中を見れば熱で朦朧としているようだが特別体調が悪化しているようには見えない。
「よし。ここからは少しゆっくり行くぞ」
「あいつら諦めたのかな」
「よく分からんが来ないなら好都合だ。今のうちに距離を稼がないとな」