第48章 吹雪の中で
サンジが前に出てラパーンに蹴りを放つ。
しかし雪に足を取られ本来の威力は出なかったのか、大きく後ろに吹き飛んだもののダメージはそれほど無い様子に舌打ちをした。
反撃を受けたことでラパーンたちの敵意が一気に高まり弾けた。
背後に控えていたラパーンたちが一斉に飛びかかってくる。
「来たぞ!森へ逃げろ、援護する!」
サンジの言葉に水琴たちは駆け出す。
だが地の利は相手にある。このままではジリ貧だ。
水琴は駆け出した足を止めラパーンへと向き直った。
「水琴ちゃん?!何を……」
「二人は先へ!ナミをお願い!」
説明をしている暇はない。
これ以上ラパーンがバラけないうちに、と水琴は腕を掲げた。
水琴を中心に風が生まれる。
その風はうねりを上げラパーンたちを巻き込み巨大な渦となった。
「竜巻!!」
風は天高くそびえ巨大な牢獄となりラパーンたちを捕らえる。
この技の欠点は水琴自身も囚われてしまうところか。
要改良だなぁと頭の片隅にメモをして、水琴に狙いを定めるラパーンたちに対峙する。
残念ながら何頭かは逃がしてしまったが、ルフィたちならば逃げ切れるだろう。
「__ごめんね、あなたたちの住処を乱してしまって」
群れの中にサンジが蹴り飛ばした小さな子どもがいたのに水琴は気付いていた。
彼らからすれば、群れの子を害した侵入者をただ排除しようとしただけだろう。
だが水琴たちにも譲れないものがある。
「悪いけど、ここから先は行かせてあげられない。遊ぶなら、私にして」
鬼さんこちら、手の鳴る方へ
「でも鬼ごっこなら、負けないから」
自分を鼓舞するように、水琴は挑戦的な笑みをラパーンへ向けた。