第47章 亡国
「……強いなぁ」
遠巻きに見ながら、水琴はこの船の強さを見る。
戦闘能力の話ではない。
一人一人が、それぞれを信じ切っている。
そして、それぞれが役に立とうと、懸命に生きている。
きっと、彼らはもっともっと強くなるだろう。
私は今のままで良いのだろうか。
白ひげクルーとして、決意を刻んで今まで。
彼らと同じ高みへ行きたいと頑張ってきたつもりだが、はたして本当に全力を尽くしていただろうか。
どこかで、非戦闘員だからと仲間に甘えてしまっているところがあったんじゃないだろうか。
「私にも、ここで出来ることがあるかな…」
異世界の民である水琴に対して、戸惑いもなく「仲間になれよ!」と言いきったルフィ。
それを受け入れてくれたみんな。
重いものを背負いながら、水琴のことを案じてくれたビビ。
せめて、ここにいる間だけでも、自分が出来る精いっぱいのことがしたい。
ルフィたちについて行くメンバーを話し合う彼らにそっと近づく。
「私も一緒に行っていい?」
「水琴ちゃんが?だけど危ないぜ」
「何かあった時ルフィは動けないでしょう。私の風なら広範囲でフォロー出来ると思うし」
ダメかなルフィ、と船長を見る。
「おう、いいぞ!一緒に行こう!」
「ありがとう」
「なら俺も行く。女の子にばっかり苦労は掛けられないしな」
「ありがと、よろしくねサンジ」
村に残るビビとウソップに見送られ、装備を整えた水琴たちは雪の中へ一歩踏み出す。
「よし、行くぞ!」
目指すはドラムロック。魔女の住む山。