第47章 亡国
モビーには乗っていなかったティーチだが、この世界に実在はするのだと知りざわりと粟立つ。
と、サンジの足元に銃弾が撃ち込まれた。
それに切れたサンジが反撃しようと一歩踏み出そうとする。
「駄目、サンジさん!」
それをビビが押しとどめた。
しかし一歩遅く、サンジの気迫にビビった住人が発砲する。
銃声と共に、ビビの身体が飛び、倒れた。
「ビビィ!!」
ルフィの怒声が響く。
「ビビ!」
慌てて駆け寄る。銃弾は腕をかすっただけのようだ。
ビビの身体を支えほっと息を吐く。
「お前ェェ!!」
しかしそれを知らないルフィは撃った住人へ詰め寄ろうと足を踏み込む。
「駄目ルフィさん!!」
そんなルフィをビビが甲板に叩きつけた。
「私なら大丈夫…腕をかすっただけだから」
じわりと血が滲む。
「…なら、上陸はしません。医師を呼んでいただけませんか?」
落ち着いたルフィを見て身体を起こす。
そして中心人物だろうと狙いを付けたドルトンへ向かい頭を下げた。
「仲間が、病で苦しんでいるんです。お願いします。助けてください」
「ビビ……」
「あなたは船長失格よルフィ。ここであなたが暴れたら、ナミさんはどうなるの」
暴れるだけで、全てが解決するわけではない。
ビビの言葉にルフィは沈黙する。
「そうだな、悪ぃ。俺、間違ってた」
ビビの横に座り、同じように頭を下げる。
「医者を呼んでください。仲間を、助けてください」
「……ついてきなさい」
黙って様子を見ていたドルトンが静かに口を開く。
「村へ案内しよう」
「ドルトンさん?!」
「大丈夫だ。彼らは悪い海賊ではない」
武器を下ろすよう指示し、歩き始める。
「…ね、大丈夫だったでしょ?」
「あぁ!すげぇなお前!」
顔を上げたルフィとビビは顔を見合わせ笑う。
「ビビ、腕手当てしないと…」
いまだ血が滲むビビの腕を取り布を巻きつける。
「水琴さん、ありがとう」
「もう、あんまり無茶しないでね」
横から見ていると、ビビの行動はひやひやする。
モビーでは自分がその位置にいることを指摘してくれる人物は残念ながらここにはいない。